2026年最新版|【弁護士監修】家族信託の活用:万一の時に海外の資産をどう守るか

早期退職後の海外ロングステイ生活を送り、日本国内に不動産や金融資産を残す資産家にとって、最も大きなリスクの一つが、「認知症などによる判断能力の低下」です。万一の時に日本の資産運用が凍結されると、国際送金による生活費の確保や、高額医療保険の支払いが滞り、高額出費リスクに直面します。

このリスクを回避するために注目されているのが家族信託(民事信託)です。この記事では、家族信託の法規制上の注意点と影響を弁護士監修の視点から解説し、ロングステイ中の資産防衛における高額な意思決定をサポートします。

1. 家族信託とは? 海外の資産管理との関係

家族信託は、資産(信託財産)の名義を家族(受託者)に移し、契約内容(信託目的)に基づいて管理・運用してもらう仕組みです。これにより、資産の所有者(委託者)の判断能力が低下しても、資産は凍結されず、受託者を通じて活用され続けます。

なぜロングステイ生活に不可欠か?

非居住者として海外にいる場合、日本の不動産の売却や、資産運用の組み換えなどの手続きは、時間も手間もかかります。もし判断能力を失うと、その手続きはさらに煩雑な成年後見制度に移行し、家族の負担が大きくなります。家族信託を設定しておけば、海外にいながら日本の資産をスムーズに管理・活用できます。

  • 受託者: 信頼できる家族(例:日本に住む配偶者や子ども)を選任します。
  • 信託目的: 「生活費確保のための賃貸不動産の管理、売却、得られた収益の国際送金」などを明確に定めます。

2. 家族信託の限界:海外の資産への注意点と影響

家族信託は非常に有効ですが、海外の資産に直接適用するには法規制上の限界があります。これは、資産の所在地国の法律が優先されるためです。

限界1:海外の不動産

家族信託は、日本の法律(信託法)に基づいています。海外の不動産購入で所有する資産については、その所在国の法律に基づき現地の弁護士を立て、現地の相続手続きが必要となります(裁判所での手続きを要する場合もあります)。

  • 対策: 海外の不動産については、家族信託とは別に、現地の法律に則った遺言書(または信託)を作成しておくことが、費用対効果の高い資産防衛策です。

限界2:非居住者の銀行口座開設問題

家族信託では、信託専用の銀行口座を開設する必要がありますが、受託者(家族)が海外在住の非居住者である場合、日本の銀行で新たに信託口座を開設することは非常に難しいです(日本の法規制による)。

  • 対策: 受託者は原則として日本在住の家族を選ぶべきです。もし日本国内の預貯金を信託に組み込むことが困難な場合は、預貯金を除外した家族信託とし、預貯金については任意後見契約を併用することでフォローする高額な意思決定も検討されます。

3. 家族信託と遺言書の併用戦略

資産家の資産防衛において、家族信託を設定するだけで全てが解決するわけではありません。信託財産以外の資産の承継先を指定するために、遺言書との併用が必須です。

  • 信託財産: 家族信託契約で、死後の承継先が定められる(遺言代用信託の機能)。
  • 非信託財産: 信託に組み入れていない預貯金や、信託設定後に取得した資産は、遺言書で承継先を指定する。

弁護士監修の下、「信託財産以外のすべての財産を〇〇に相続させる」といった包括的な記載を遺言書にしておくことで、海外在住の子どもにとっての日本での相続手続きがシンプルになり、時間と費用の高額出費を回避できます。

まとめ:家族信託を活用した海外の資産防衛チェックリスト

家族信託は、ロングステイ中の資産管理の「生前対策」として極めて有効ですが、国際税務コンサルタントや弁護士との連携が必須です。

検討事項推奨される費用決定と対策
日本資産の凍結回避受託者を日本在住の家族とし、家族信託を設定する。
海外の不動産承継信託とは別に、現地法に基づいた遺言書を作成する。
非信託財産の承継家族信託と遺言書を必ず併用し、全てに承継先を指定する。

この最新情報を参考に、弁護士などの専門家にご相談の上、ロングステイ生活の資産防衛を万全にしてください。